「災害は突然だけど、備えは日常」—住民の言葉が動かす防災の輪
東海地方は来週から梅雨入りです。近年、線状降水帯や大雨による災害が増加傾向にあります。地域の実状に則した信頼できる情報と、年齢や障害の有無を問わず誰もが逃げやすい環境づくりが必要です。特別な知識や立場がなくても、「住民」としての声が、防災力を高める原動力に繋がります。

コミュニケーション不安が課題
株式会社マクロミルが2025年6月4日に発表した「災害や防災に関する調査」によると、自助意識は高まる一方、共助意識への課題と情報の信頼性に対する不安が明らかになりました。
愛知県は、「非常用持ち出し袋」の準備は全国5位と高いものの、「避難場所/避難経路の確認」や「災害時に頼ることができるご近所づきあい」はランク外です。防災グッズを買うことがゴールになってしまい、防災における「意識」と「行動」の間にギャップがあることを示しています。
~マクロミル、第2回全国20万人「都道府県別」防災調査ランキング~
調査結果 トピックス (発表全文はリンク先参照のこと)
- 南海トラフ臨時情報の発表により、対象県における災害対策への“自助意識”が向上
常用持ち出し袋の準備」の伸長ランキング第1位は宮崎県(10.4ポイント増)、
「避難場所/避難経路の確認」の第1位は宮崎県(12.2ポイント増)- 「災害時に頼ることができるご近所づきあい」は全体の24.4%、
第1位の宮城県でも31.5%に留まり、“共助意識”には課題が残る- 大災害発生時の「情報の信頼性」、能登半島地震で被災した石川県(65.7%)、南海トラフ臨時情報
対象地域の徳島県(65.5%)、愛媛県(65.1%)を中心にコミュニケーション不安が広がる
「避難はできないかもしれない」から始まる議論
「一人で高齢の母を連れて逃げるのは無理。どうしたらいいのか。」「杖をつきながらでは階段を上れない。」昨年夏に開かれた勉強会では、参加者の口から率直な不安がこぼれました。防災訓練には、町内会や自治会等の担当者や、現役世代の元気な方が参加していますが、被災したその時にいるとは限りません。現実的な避難について考える機会は意外に少ないものです。
2024年、8月21日に港区障害者基幹相談支援センターで、9月4日に港防災センターで、9月18日に港図書館で、後期高齢者や障害者の避難を考える勉強会「バリアフリーの視点で防災を考えよう」が開催されました。
「正直なところ、逃げられないと思っています。でも、それを口にできる場があることで、『じゃあどうする?』という話ができるようになる。」そう話すのは、車椅子の女性です。津波に限らず、エレベーターが止まってしまったら、逃げるすべを失います。高齢の男性は「指定された避難所に行くには、土地が低くなっている小さな川を渡らなくてはいけないので危険。隣のビルの方が安全だが、勝手には入れない。」と。
「津波てんでんこ」―逃げることをためらわないためには、年齢や障害の有無を問わず誰もが逃げやすい環境が必要です。そのためには、地域のリアルな情報を把握し共有していることが必要です。
令和6年防災白書によると「突発的に発生する激甚な災害に対して既存の防災施設等のハード対策や行政主導のソフト対策のみで災害を防ぎきることはますます困難になっている。」そうです。まずは、顔が見える相手の声を集め、地域で暮らす住民自身が議論をスタートさせることが、現実的な防災に繋がるのではないでしょうか。

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