小さな楽しみが増えていく毎日

~ 福祉会館に出かけてみませんか ~

(文:児玉 由美

年齢を重ねると、「なんとなく毎日が同じように過ぎていく」と感じることがあります。
今回ご紹介するのは、80代後半の女性のお話です。

これまで穏やかに生活されていましたが、特別な目標や楽しみがあるわけではなく、ご自宅で過ごす時間が多くなっていました。そうすると体を動かす機会も自然と減っていきました。
そんなある日、女性は福祉会館に出かけることになりました。きっかけは、娘さんのすすめです。

福祉会館とは、名古屋市内在住の60歳以上の方が利用できる施設です。趣味活動・健康づくり・軽スポーツ・ゲームなどを楽しむことができ、市内16区に設置されています。

最初は「少し体を動かしてみようかな」という気持ちで、フラダンスの講座に参加されたそうです。
実際に参加してみると、体を動かす心地よさや、同じ場に集まる人とのちょっとした会話が楽しく、「また行ってみたい」という気持ちが自然と生まれたそうです。

それから少しずつ、福祉会館に行く日が楽しみになっていきました。

フラダンスだけでなく、クッキングなどの単発講座にも参加するようになり、クッキング講座で習った料理は、ご自身で買い物に行き、ご自宅でも作り、娘さんやお孫さんに振る舞っています。「おいしいね」と言ってもらえることがとても嬉しく楽しみになりました。

フラダンスが楽しくて

また、福祉会館へ行くために、自分でバスの時間を調べて出かけるようになったことも、大きな変化の一つでした。外出の準備をし、時間を確認し、家を出る。その一つひとつが、日常の中の大切な時間になっています。

娘さんは、「出かける前からとても楽しそうで、帰ってくると福祉会館であったできごとを話してくれるんです」と話されていました。親御さんのいきいきした姿を見ることができることは、ご家族にとっても大きな喜びです。また、元気に過ごされる姿そのものがご家族への何よりの安心につながっているようでした。
そばで見守らせていただく中で、どんどん表情が明るくなっていく様子がとても印象的でした。

今回ご紹介した女性に、特別な出来事があったわけではありません。けれど、外に出る機会ができたこと、新しいことに触れる時間が生まれたことで、毎日の小さな楽しみと生活への張り合いが芽生えてきました。

年齢に関係なく、「やってみようかな」という気持ちは、日々の暮らしを明るくしてくれます。地域の場には、人と出会い、体を動かし、笑顔になれる時間があります。無理をする必要はありませんが、できる範囲で外に出てみることが、暮らしの中の楽しみにつながることもあります。これからも、それぞれのペースで、自分らしい楽しみを見つけながら過ごしていけるといいですね。

【専門職からのひとこと】 

日々の生活の中に「楽しみ」や「役割」があることは、心の元気につながります。
今回のように、外に出る機会や人との関わり、新しい体験が少しずつ重なることで、生活に張り合いが生まれていきます。大きな変化でなくても大丈夫です。「行ってみる」「やってみる」という小さな一歩が、その人らしい毎日を支えていきます。それぞれのペースを大切にしながら、安心できる場所や時間を持つことが、これからの暮らしの支えになっていきます。

ケアマネジャー・看護師  児玉由美

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