2026年4月15日、名古屋市港区のマックスバリュ港十番店で、港区まちつくり隊(チームオレンジ)による地域相談イベント「にこにこりんく」が開催されました。店内の一角で行われる小さな取り組みながら、参加者の表情からは確かな手応えが感じられ、地域に新しいつながりを生む活動として注目されます。
港区町つくり隊(チームオレンジ)
地域住民の有志によるサポーターと、企業に所属しながら地域活動に関わる職域サポーター(※)で構成される組織です。認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを目的に、交流イベントや見守り活動などを行っています。
※職域サポーターとして登録している法人・団体(2026年4月現在)
マックスバリュ港十番店 ・愛の家グループホーム八百島 ・アイセイ薬局 ・セントケアりまいん栄生 ・港区東部いきいき支援センター
買い物の延長にある交流拠点
会場は、地域の食を支えるスーパーマーケットの入口を入ってすぐ、花と野菜売り場の横に設けられていました。
地域サポーター5名と企業の職域サポーターが、訪れた人を温かい声掛けで迎え入れ、思わず足を止め訪れた人々は自然と輪の中へ。「買い物ついでに立ち寄れるのがいい」という声も聞かれました。店内という日常の延長線上にあることで、初めての人でも構えずに参加できるようです。


声を可視化する仕組み
会場ではコーヒーとミニカップケーキが振る舞われ、和やかな雰囲気の中で会話が弾みます。アイセイ薬局の薬剤師によるお薬相談や筋力測定といった健康チェックのほか、社会福祉士による介護や認知症の相談も。
今回のプログラムには、イースターエッグ作りと紙芝居の読み聞かせもありました。「時間はあるからね。やってみようか」と、参加者同士が教え合いながら手を動かし、自然と距離が縮まっていきます。
また、会場には、参加型認知症啓発活動「オレンジの木」のタペストリーが用意されていました。オレンジの実や葉に見立てた付箋には、「気軽に話せる場所が増えてほしい」「困ったときに相談できる人が近くにいると安心」といった声が並びます。こうした意見の可視化は、単なる交流にとどまらず、地域課題を共有するきっかけにもなるでしょう。


静かな共感と確かな手応え
愛の家グループホーム八百島から参加した方は、言葉こそ発しなかったものの、周囲とのふれあいの中で何度も頷き、穏やかな笑顔を見せていました。その様子を見守っていたスタッフは「地域の人と交流でき、知ってもらえたことが嬉しい」と語ります。マックスバリュ港十番町店副店長・柴田さんは「いつもは話すこともないけれど、よく見かけるお顔もあり、楽しみにしてくださっているお客様がいらっしゃることがとても嬉しいです」と振り返ります。
日常の中では交わることの少ない人同士が、ここでは自然に言葉を交わし、互いを知るきっかけとなっていました。終了間際にはコーヒーが足りなくなるほどの盛況ぶりで、関わった方々の満足度の高さを感じました。


店舗と地域がともに成長する場
この取り組みについて同店店長の山下さんは、「経済的な利益ではなく、地域の一員として意味のある活動」と位置づけているそうです。従業員全員が認知症サポーター養成講座を受講し、来店者への接客を工夫しているのだとか。柴田さんは「以前は、同じものをいくつも籠に入れたり、会計前に商品をポケットに入れてしまったり、認知症かもしれないお客さまの対応に困っていました。講座を受けたことで、声のかけ方を工夫したり案内を表示したり、お客さまが安心して買い物ができるようになったと感じます」と語ります。そうした日々の積み重ねがこの交流の場にも活かされ、実際に常連客の参加や継続的な来場につながっているそうです。「にこにこりんく」は、単なるイベントではなく、地域と店舗が協働して育てる新しい関係性の形といえるでしょう。
次の一歩へ—地域とあなたへ
令和7年版厚生労働白書によると、65歳以上の単独世帯は増加傾向にあり、今後も拡大が見込まれています。

総務省統計局「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(令和6(2024)年推計より
単身世帯の増加や地域関係の希薄化が指摘されるなか、自然に人と関われる場が地域の中・普段の生活の中にあることは、特別な支援に頼る前段階として機能するとして注目されています。現在、各地で福祉×商業施設の取り組みが報告されています。
今後は、港・熱田ケアマネージメントセンターの主任ケアマネによる「出張いきいき相談室」(介護相談)も加わり、にこにこりんくの地域の身近な拠点としての進化が期待されます。毎月15日10時半~12時です!皆さんも是非、足を運んでみてください。

コメント この記事へのご意見・ご感想をお待ちしています!