サロン実践者交流会で見えた地域の工夫

2026年5月27日、名古屋市港区港楽の港区在宅サービスセンターで、名古屋市港区社会福祉協議会主催「令和8年度第1回サロン実践者交流会」が開かれました。区内20のサロンの運営を担っている方31名が集まり、ゆび体操や工作を体験しながら、それぞれの取り組みや悩み、成功事例を率直に語り合いました。参加者同士が情報を持ち寄ることで、新たな発想や連携の可能性も見えてきた交流会。当日の様子から、地域活動を続けるヒントを紹介します。

スタートは指遊び、手を動かすことが笑顔につながる

開始のあいさつの後、会場はすぐに実践の時間へ移りました。最初に行われたのは、「もしもし亀よ亀さんよ」の歌に合わせて右手と左手の指を折り曲げるレクリエーションです。

動き自体は難しくありません。しかし、歌いながら左右別々に動かすとなると意外にも苦戦します。著者も挑戦しましたが、思うように動かず周囲と顔を見合わせて笑う場面がありました。一方で、軽快なリズムで動きを続ける参加者も多く、会場には自然な拍手が起こります。

サロン実践者交流会の様子
サロン実践者交流会の様子
社会福祉協議会次長
社会福祉協議会次長
手遊びの練習をする職員
手遊びの練習をする職員
熱心に説明を聞く参加者
熱心に説明を聞く参加者

続いて千代紙を使った風鈴作りに挑戦しました。日頃からクラフトを取り入れているサロンの実践者は説明を聞きながら手際よく完成させますが、久しぶりに折り紙を触る人は慎重に手順を確認しながら制作していました。

こうした様子から見えてきたのは、それぞれのサロンに得意分野があるということです。運動が中心の場所もあれば、ものづくりを特色とする場所もあります。活動内容の違いが、参加する住民の多様な興味に応える工夫につながっていることを実感しました。

一つひとつ違うサロン それぞれが地域に合わせた工夫を続ける

情報交換では、各団体が活動内容や課題を紹介しました。

「サロン九番団地」からは「団地住民の交流や参加に苦戦している」という率直な声が上がります。一方、学区独自の広報紙を発行している大手学区では、継続的な情報発信によって参加者が少しずつ増えているそうで、「大手ボッチャサロン」は「毎回60名くらいが参加します」と報告されました。

「半日サロンあじさい・さくら」ではチューブ体操を続けており、「70代は若手。平均は80を超えていますから」と笑いを交えながら話していました。

「ばぁば工房」は港まちづくり協議会との協働事業を実施し、「新しい企画が新しい刺激を生む」と説明します。「サロンゆとり」では麻雀やカラオケなど男性も参加しやすい内容を用意。「港西学区いきいきサロン」は寄せ植えやキーホルダー制作など、暮らしの中で役立つ内容を意識しています。「港鯱城会」はPPバンドクラフトや太極拳、ボッチャ、カラオケなど幅広い活動を展開しており、それぞれが地域住民の関心に合わせて特色ある運営を行っていました。

プリントを見ながらクラフト工作を進める参加者
プリントを見ながらクラフト工作を進める参加者
クラフト工作を教え合う参加者
クラフト工作を教え合う参加者
千代紙で作った風鈴
千代紙で作った風鈴
情報交換の様子
情報交換の様子
思わぬ反響を呼んだ「終活講座」

交流会の中でも特に参加者の関心を集めた話題が、西築地地区の「いきいき健康教室」の取り組みでした。普段は体操を中心に活動しているそうですが、先日は法務局職員を講師に招き、終活講座を開催したそうです。

発表者が「遺言書がどうして必要か、どうやって書くのかを教えてもらいました」と紹介すると、多くの参加者がうなずきながら耳を傾けます。さらに会場からは「もう少し詳しく教えてほしい」「うちのサロンでも聞いてみたい。どうすればよいの」と質問が相次ぎました。今回は、学区住民の知り合いの紹介で実現したそうですが、法務局へ問い合わせるとよいそうです。身近な制度や専門家とつながることで、サロン活動の内容が大きく広がる可能性を感じさせる場面でした。

地域活動を続ける人同士だからこそ学び合える

取材を通じて感じたのは、「正解」は一つではないということです。運動、工作、ボッチャ、終活講座、麻雀、カラオケ――地域の実情や参加者の関心に合わせて柔軟に形を変えていくことが、活動を長く続ける力になっています。参加者同士が情報交換を重ねることで、自分たちの活動を見直したり、新しい企画のヒントを得ている姿が印象的でした。

最後は保健所職員から注意喚起です。「急に暑くなり熱中症が出始めています。また結核も増えています」といった説明があり、日頃の健康管理への配慮を呼びかけました。

地域の情報は、テレビやラジオからではなく、回覧板やポスティングが主な媒体になっています。しかし、視力の衰えで小さな文字が読みにくい方や、書面を読むこと自体が億劫に感じる方もいます。サロンは、住民同士が顔を合わせる場であると同時に、こうした行政からの情報を拡散する機会にもなっているのです。

名古屋市の統計資料によると、港区は市内でも外国人住民数が多い区(※)の一つです。言語や文化の違いがある中で、地域のつながりづくりには従来以上の工夫が求められています。今回の交流会でも、団地で参加者集めに苦戦する声がある一方、広報活動や特色ある企画によって参加者を増やしている事例が紹介されました。単なる趣味の集まりではなく、暮らしに役立つ情報を共有する拠点として、今後もサロン活動が発展することを願っています。

令和7年名古屋市外国人住民統計より

外国人住民が最も多いのは港区で12,326人となっており、以下、中区12,170人、中川区10,639人、中村区9,157人、南区8,082人と続いています。

  1. 港区:12,326人(構成比11.2%)
  2. 中区:12,170人(構成比11.0%)
  3. 中川区:10,639人(構成比9.6%)
  4. 中村区:9,157人(構成比8.3%)
  5. 南区:8,082人(構成比7.5%)

データ出典:名古屋市オープンデータカタログサイト、名古屋市、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示4.0 国際(外部リンク)

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