〜歩ける毎日は、足を見ることから始まります〜
(文・写真:板東陽子)
はじめまして。介護福祉士・フットケア専門家の板東陽子です。
介護の現場で多くの高齢者の方と関わる中で、「足の痛みやトラブルが、歩くことや生活の楽しみを奪ってしまう」現実を数多く見てきました。
現在は「生涯自分の足で歩き、自分らしく生きる」をテーマに、フットケアを通して足元から健康を支える活動をしています。
ご自身や大切なご家族の足を守るために、今日からできることを分かりやすくお伝えしていきます。

足の健康に必要なフットケア
「フットケア」と聞くと、皆さんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか。
「専門的なことだから、自分には関係ない。」
「足ツボマッサージ?」
そんなイメージを持たれる方も多いかもしれません。そもそも「フットケアって何?」という方もいるかもしれませんね。フットケアとは、大きく分けて6つのケアを総称しています。
- 足を見る事。
- 足を清潔に保つ事。
- 正しい爪切り、爪周りのお掃除などの爪のケアをする事。
- ウオノメ、タコ、カカトのガサガサなどを削る角質をケアする事。
- 運動やマッサージ
- 自分の足に合った靴選びをする事。
これらは、足の健康保持とトラブルなどの予防・改善をする為に必要なケアです。
介護福祉士として働き始めた頃、利用者様の足を見て、とても驚きました。
「こんなに爪が厚くなるんだ。」「魚の目やタコがこんなにできていても我慢しているんだ。」「こんなにゆびが重なって、歩けるの?」
正直、それまで私は高齢者の足をじっくり見る機会がなく、これほど多くの方が足のトラブルを抱えているとは知りませんでした。
では、なぜこのような足になってしまうのでしょうか?
色々な原因が有ると思います。爪を切らない訳ではなく、手が届かなかったり、目が見えなかったり、爪が厚くなったりで、切れなくなくなる。1人での入浴が難しくなり、お風呂に入る回数が減り不潔になる、などなど…
ゆびが重なってしまった利用者さんに「いつからこうなったんですか?」と聞いた事があります。その人は「覚えとらん!」と言いました。
ある日突然、ゆびが重なる事はありません。ちゃんと見ていれば、あれ?と思う時があったはずです。
その後も介護の現場でたくさんの方と関わる中で、「年だから仕方ない」と痛みを我慢しながら生活されている方を数多く見てきました。
皆さんは、ご自身の足を最後にじっくり見たのはいつでしょうか。もし、ご家族に高齢の方がいらっしゃるなら、その方の足を見たことはありますか。
顔や手は毎日目に入りますが、足は靴下や靴で隠れていることが多く、意識して見なければ変化に気付くことができません。そして、トラブルがある人ほど、靴下を脱ぐのを嫌がります。だからこそ、小さなトラブルが少しずつ進行してしまい、ご自身ではどうする事も出来なくなっていってしまいます。
例えば、
- 爪が厚くなって切れない
- 魚の目やタコが痛い
- 外反母趾で靴が当たる
- 足の指の間が白くふやけている
- かかとがひび割れて痛い
- 足の爪が伸びたままになっている
このような状態でも、「年齢のせいだから」と我慢される方は少なくありません。しかし、足の痛みがあると歩きたくなくなり、外に出る事が嫌になります。歩く機会が減ると筋力が落ち、外出することがおっくうになり、人と会う機会も少なくなってしまいます。
このように、年齢とともに心身の活力が低下し、健康な状態と介護が必要な状態の間にある「フレイル(虚弱)」と呼ばれる状態に近づいてしまうことがあります。フレイルは、適切な運動や栄養、社会とのつながりなどによって改善が期待できる状態だといわれています。
だからこそ、元気なうちから足を守ることがとても大切なのです。足の小さなトラブルを放置しないことは、フレイル予防の第一歩にもつながります。
自分らしい生活を楽しく続けるために大切な力
『歩く事』は、ただ移動する為だけではありません。
- 好きな物を買いに行く事。
- 大切な人に会いに行く事。
- 旅行に行って美味しいものを食べる事。
自分らしい生活を楽しく続けるために大切な力です。足の小さなトラブルが、その力を奪い生活全体に影響を与えてしまうこともあるのです。
だからこそ、私が一番お伝えしたいことは、
「まずは足を見ること。」そして、「清潔に保つこと。」
毎日お風呂に入る時や靴下を履き替える時に、ほんの30秒で構いません。足を見てみてください。
- 爪は伸びていませんか?
- 指の間は汚れていませんか?
- 赤くなっているところはありませんか?
- むくんではいませんか?
- 冷たくはないですか?
- 痛いところはありませんか?
もしご家族が高齢で、ご自身では足が見えにくくなっているようでしたら、「足を見せて。」と優しく声を掛けてあげてください。そのひと言が、足のトラブルを早く見つけるきっかけになるかもしれません。
フットケアとは、特別なことではありません。足を見て、洗って、しっかり乾かし、清潔に保つ。そして、小さな変化に気付くこと。それも立派なフットケアです。
いつまでも自分の足で歩き、自分らしい毎日を過ごすために。
今日からぜひ、ご自身の足、そして大切なご家族の足を見てみてください。きっと、新しい気付きがあるはずです。「見る習慣」が、足の健康を守る第一歩になります。
ですが、困っていても、どこに相談したら良いか分からない方が非常に多いのが現状です。病院に行くほどでも無いし、かといって家族は対処できない。まして、お一人暮らしなら尚更です。
足の事で困った時は、まずお近くのフットケアサロンを探してみて下さい。まだあまり知られて無いですが、きっとお近くに足の専門家がいると思いますよ。
足ととのえ処SUN 板東陽子


コメント この記事へのご意見・ご感想をお待ちしています!