大きな声を出せるから、心が軽くなっていく

第29回 カフェたかぎ(港区高木)

2026年7月17日、この夏初めて体温を上回る気温となった日に、名古屋市港区高木の「カフェたかぎ」を訪ねました。家に閉じこもりがちな時期だからこそ、人と顔を合わせる時間が暮らしの支えになる――。地域に暮らす人たちが、それぞれできることを持ち寄りながら育ててきた取り組みを取材しました。

歌声と拍手に、心躍る夏のひととき

この日は、いつもの催し物にプラスしてボランティアによる音楽会です。汗をぬぐいながら会場に入ると、程よく冷房が効いていてホッとしました。
ギターとキーボードの演奏で「上を向いて歩こう」が始まると、自然に歌声が重なります。ギターを片手に歌う演者は、「母親の前で演奏するのは小学校の発表会以来かもしれません」と少し照れた様子でマイクを握っていました。

代表を務める学区女性会の嶋本さんは「今日は音楽を聴いているので静かな方ですよ。普段はおしゃべりが止まらないんです」と笑います。また、「大きな声を出すことが、やっぱりストレス解消にもなるんですよ」と参加者の様子を、目を細めて見守ります。「真っ赤な太陽」が流れると、席に座る人だけでなく、受付や外で準備をしていたスタッフも自然と口ずさみ、アンコールには大きな拍手が起こりました。

受付をする役員さんと嶋本さん(中)工藤さん(右)
受付担当の林さん(左)嶋本さん(中)工藤さん(右)
演奏に聞き入る皆さん
演奏に聞き入る皆さん

受付では学区連絡協議会委員長の工藤さんが来場者を迎え、「役員の皆さんが協力し頑張っていただいております」と感謝を口にしていました。

さらに毎月、民生委員会長の安田さんのピアノ演奏で誕生会がおこなわれています。この日も「おいくつになられました?20歳!?」という軽妙なやり取りに会場が沸き、その後は全員で「ハッピーバースデー」を合唱。一人ひとりの名前が呼ばれるたび、大きな拍手が送られていました。

学区連絡協議会:
名古屋市における、地域住民と行政をつなぐための自治組織です。小学校区(学区)単位で設置されており、名称や位置づけは自治体によって異なります。

「ここへ来ると安心する」暮らしの変化

参加者の多くは、「誰かに誘われたこと」が最初の一歩だったと話します。

ある女性は「近所の方に声をかけてもらって良かったです。音楽が大好きなので楽しみにしています」と笑顔で話しました。別の参加者は「歩いてすぐだから来られるんです。遠いと続かないですからね」と続けます。徒歩で気軽に立ち寄れる距離だからこそ、毎月の習慣になっていることが伝わってきました。

「家で一人でいるのが不安なんです」と打ち明けた参加者は、「ここでみんなと話すと、その日はぐっすり眠れるんですよ」と教えてくれました。また、「毎回楽しみにしています」「顔を合わせるだけでも安心します」と話す人も少なくありません。

住民を対象にした催しはいろいろありますが、この「カフェたかぎ」は、住民以外でも誰でも参加ができるそうです。工藤さんは、「友達がたくさんいる方には、お友達も一緒にどうぞと声をかけています。地域を限定するとどうしても視野が狭くなりますから」と語ります。

参加者が新しい知り合いを連れてくることで、自然と輪が広がり、新しい刺激も生まれる。こうした工夫によって、初めて訪れる人でも入りやすい雰囲気が育まれていました。

支える人も元気をもらう運営の工夫

「カフェたかぎ」は、多くの人の支えによって成り立っています。

女性スタッフは、「地域の役員が無理せず、個々にできる事を協力して支えながら成り立っています」と笑顔を見せ、「月一回のお手伝いが生活の一部になっています」と話します。

嶋本さんは、「男性役員さんは、机運びなどの力仕事を進んで引き受けて頂いております。何かをしたいときに、常に協力してくださる方がいるのが心強く有難いです」と感謝を口にします。

お手伝いが生活の一部と話す住民
お手伝いスタッフ
提供するおやつを確認するスタッフと嶋本さん(右)
提供するおやつを確認するスタッフ
次の世代へ受け継ぎたい地域の力

嶋本さんは、長年活動を続けてきたからこその課題も話してくれました。

「コロナ前は50〜60人ほど来ていました。少しずつ戻ってきていますが、以前のような賑わいになればうれしいですね。」一方で、「今一番心配なのはこの暑さです。無理をしないよう気を配っています」と参加者の健康を第一に考えています。

そして今後については、「いつまで続けられるかは分かりません。世代交代は必要です。若い方にもぜひ参加してほしいですね」と率直な思いを語りました。

工藤さんも、「会議の合間を縫ってでも皆さんと会う時間が楽しみなんです」と話し、自らマイクを握って「いつでも夢を」を披露しました。その姿からは、運営する側と参加する側の垣根が低く、誰もが役割を持てる雰囲気が伝わってきます。

「カフェたかぎ」は、ただ集まる場所ではありません。歌う人、受付をする人、机を運ぶ人、お茶を準備する人。それぞれが無理のない範囲で役割を担い、その積み重ねが地域の日常を支えています。

もし「最近、人と話す機会が少なくなった」「地域で何か始めてみたい」と感じているなら、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。参加することも、手伝うことも、どちらも地域を支える大切な一歩になります。

近年は一人暮らし世帯の増加や猛暑の長期化が社会課題となっています。暑い日は外出を控えがちになりますが、その一方で人と話す機会が減ることもあります。だからこそ、歩いて行ける場所に、気軽に立ち寄れる場があることの価値はますます高まっています。

サロン概要
名称カフェたかぎ
所在地名古屋市港区油屋町2-15(高木コミュニティセンター)
開催日時毎月第3金曜日 10:00~12:00
利用者負担100円
運営高木学区地域福祉推進協議会
申込・連絡先052-384-7474(高木コミセン)
参加方法当日会場へ

サロン紹介


 

介護・福祉で地域をつなぐメディア「Site4Care」では、介護サービスや福祉行政、介護テック、ボランティア活動など、名古屋圏での具体的な取り組みを発信しています!ユニークな情報がありましたら担当者が取材に伺います。どうぞお気軽にご連絡ください。

地域とつくる、地域をつくる
Site4Care(サイトフォーケア)
名古屋市港区・南区・中川区・熱田区

記事の印刷は、こちらの印刷用PDFダウンロードページからどうぞ
(印刷用のPDFは、準備が出来た記事からご用意しています)


 

コメント この記事へのご意見・ご感想をお待ちしています!

タイトルとURLをコピーしました