第14回 カラオケとフラトレで笑顔が咲く認知症カフェ「喫茶みなと」(港区港楽)
毎月第2日曜日、名古屋市港区社会福祉協議会の2Fで開かれる「喫茶みなと」は、歌声と笑顔に満ちたカフェです。カラオケをBGMに一服してから、季節感あふれるプログラムで朝のひとときを過ごします。夏本番の7月13日、「フラトレ」の様子を取材しました。
認知症カフェとは、認知症の人やご家族、地域住民、医療や介護の専門職など、誰もが気軽に集い、仲間づくりや情報交換ができる地域の居場所です。名古屋市のいきいき支援センターが運営の支援を行っているカフェは、「なごや認知症カフェ」として登録されています。
歌声に迎えられる朝の入口
扉を開けると、すでにカラオケの音が会場に響いています。受付を済ませた参加者が、思い思いの席につき、誰かの歌に耳を傾けます。「好きな人が歌うんです。私は聴いているだけで充分」と語る女性の笑顔。しばらくすると、コーヒーや紅茶とともに丸パンや果物が配られ、30分ほどのモーニングタイムが始まります。歌声をBGMに、近況を語り合う人たちの表情はどれもやわらか。昭和歌謡から民謡まで、カラオケの曲の幅は広く、「70代も80代も一緒だと思うでしょ。でもね、橋幸夫と西郷輝彦みたいに、10年違うと聞く曲も全然違うのよ」と語る参加者同士が、お互いの選曲に拍手を送る場面も印象的でした。世代が何度か訪れたという男性は、「いらっしゃい、いらっしゃいって迎えてくれる感じがあるから、一人でも来やすい」と話します。


喫茶みなとの運営には、デイサービス施設の職員4名に加え、数名のボランティアが協力しています。参加者は、普段この施設を利用している方の一部や地域の住民や、近所に暮らす方々約30名。「毎週やってほしいけど、運営の負担もありますよね」「セルフサービスにしてでも続けて欲しい」と話す参加者もおり、サロンの価値が着実に育っている様子がうかがえます。
衣装で心をほぐすフラトレ体験
この日のプログラムは「フラトレ」。古着の着物をアップサイクルしたパウスカートやアロハシャツ、色とりどりの花のレイが並び、参加者は好きな衣装を選びます。インストラクターの平戸さんが「赤は生命力の色、オレンジは食欲を刺激しますよ」と話すと、「長生きしたいから赤を着るわ」と返す参加者。平戸さんが、衣装選びからフラトレは始まっている、と話すとおり、テンポのよい会話が繰り広げられます。
衣装が行きわたったら準備体操。右手は3拍子、左手は4拍子といった複雑なリズムの動きに挑戦し、「できそうでできないのが面白い」とほほえみながら体を動かす参加者。次第に空気がほぐれていきます。本番では、「いつでも夢を」がフラダンス風に編曲され、音楽とともに手やステップで物語を描く時間が始まりました。


ハワイ風の装いに身を包み、懐かしの名曲に合わせて身体を動かす姿には、年齢や病気の枠を越えた、生きる喜びがあふれていました。おしゃべりを楽しみに来る人も、歌や踊りを楽しみに来る人も、一人ひとりが心地よく過ごせる居場所として、ゆるやかなつながりが育まれています。「写真撮りまーす」の声にも、誰もが自然に笑顔を見せていました。


誰もが安心して集える地域拠点へ
こうした活動の必要性は、社会の現状からも浮かび上がります。特に認知症を持つ人にとって、定期的に人と関わる機会は、生活の質を大きく左右します。喫茶みなとは、そんな社会的課題に対するひとつの実践として、地道に地域に根を張っています。もしご近所に気になる人がいたら、ぜひ声をかけてみてください。あなたのその一言が、誰かの新しい一歩になるかもしれません。
サロン概要
| 名称 | 喫茶みなと |
| 所在地 | 名古屋市港区港楽2-6ー32(港区デイサービスセンター) |
| 開催日時 | 毎月第2日曜日 9:00〜11:00 |
| 利用者負担 | 200円 |
| 運営 | 名古屋市港区デイサービスセンター |
| 申込・連絡先 | 052-651-0305(名古屋市港区社会福祉協議会) |
| 参加方法 | 申込不要(当日直接会場へ) |

コメント この記事へのご意見・ご感想をお待ちしています!