全盲の僕に見えること~地域移行しています~(第8回)
(文:筒井 安彦)
みなさんこんにちは。iPadライフクリエーターの筒井安彦です。
さて今月は、私がなぜ「防災士」という資格目指すのか、その理由を書きたいと思います。それは、私自身の人生のテーマである「視覚障害者の生活を、より安心で、より強固なものにする」という決意と、強く結びついているからです。
災害ボランティアとの出会い
私が防災士になりたいと思い始めたのは、今から約10年ほど前にさかのぼります。その頃は、メディアを通じて「災害ボランティア」の存在を知り始めた頃でした。そして、東日本大震災をはじめとする様々な災害のニュースに触れるうち、「自分にも何かできることはないか」という思いから、災害ボランティアの活動にも少しずつ参加するようになりました。
しかし、ここで一つ重要なことがあります。
私はこれまで命を脅かすような大きな自然災害に直接出会った経験はありません。また、避難所での生活を経験したこともありません。
視覚障害者が直面する情報の壁
ボランティア活動を通じて被災地の状況や、支援を必要とする方々の声を聞くうちに、私はある深刻な事実に気づき始めました。それは、災害時の支援や情報が、往々にして「健常者をスタンダード」に設計されているということです。
健常者であれば、緊急地震速報のテロップや、避難所入口に貼られた案内図を見て情報を得ることができます。しかし、視覚に障害を持つ私たちは、それができません。
例えば、以下のような状況です。
- 周囲の道路状況がわからないため、避難経路がわからない
- 避難所内のレイアウトや備品の配置が把握しづらい
- トイレの場所や重要な注意が視覚的な掲示物・配布物に偏っている
- 支援物資の情報が視覚的に伝達され、必要な支援を受けられない
- 口頭での情報伝達は、話しかけられないと情報を得られない
防災から減災へ
こうした課題に直面する中で、視覚障害者として「できること」と「できないこと」があることに気づき始めました。個人の備蓄や自宅内の安全確保は「できること」ですが、混乱した環境での正確な情報把握は限界があります。
だからこそ、私の考えは「防災」(災害を防ぐ・備える)から、「減災」(被害を最小限に抑える)活動の方に、ゆっくりとしたスピードで傾いて行きました。
減災活動を中心にして活動することを念頭に置いたとき、「防災士」という資格の必要性を痛感しました。防災士とは、自助、共助の精神に基づき、訓練や知識を習得し、地域や職場で減災のために活動する者のことです。この専門的な知識と社会的信頼を得ることで、初めて地域や行政、そして何より同じ視覚障害を持つ人々に、説得力のある情報と具体的な行動計画を届けることができると考えたのです。
防災士としての目標
私が防災士になる理由として、核となる目標は、以下の二つです。
- 視覚障害者の防災をより強固なものにする。
- 減災活動を通じて一人でも多くの視覚障害者の命を守る。
私の目指すことは、視覚障害を持つ私だからこそ気づく「見えない危険」に、灯をともすための「行動力」と「専門性」を得ることです。
そのために、まず来年前半は今まで勉強した内容を復習しながら防災セミナーや講演会を探して積極的に参加していきます。4月以降、防災士の試験を扱っているセクションへ受験できるかどうかなどを聞きながら受験方法も含めて相談していこうと考えています。
動きが遅いと人は見るでしょう。しかし私はどうすれば自分がやりやすい環境にできるかを考えているので勉強の仕方も含めてじっくりとやっていこうと思っています。人より遅くてもある程度は仕方がないと受け止めてます。受験ができるとなればどのタイミングで「救急救命の講習を受けるべきか」も判断し、動いていきます。
真に安心できる社会、そして一人でも多くの視覚障害者が、災害時にも希望を持てる社会の実現に貢献していきたい。その強い決意を胸に、私は前に進みます。
次回もお楽しみに!
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【編集部より】
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