全盲の僕に見えること~地域移行しています~(第10回)
(文・写真撮影:筒井 安彦)
こんにちは、iPadライフクリエーターの筒井安彦です。
私は日頃、iPadを活用していかに生活をクリエイティブに、そして便利にクリエイトしていくかということを発信していますが、私たちの暮らしの根底には常に「安全」という土台が必要です。
皆さんは「防災」と聞いて、どのようなイメージを持ちますか?
「いつかやらなきゃいけないけれど、つい後回しにしてしまうもの」「準備が面倒なもの」……そんな風に感じている方も多いのではないでしょうか。防災は「平時から考える」のが鉄則ですが、意識を高く持ち続けるのは意外と難しいものです。
そこで私は、自分自身の中に一つの「ルール」を設けています。それが、1月17日から3月11日までの期間を「防災特別期間」と定め、集中して防災に向き合うという取り組みです。今回は、私がなぜこの期間を設けているのか、そして具体的にどのような活動をしているのかをお話ししたいと思います。
1. 「特別期間」という枠組みが意識を変える
防災において最も怖いのは「風化」と「慣れ」です。1月17日の阪神・淡路大震災、そして3月11日の東日本大震災。日本人が決して忘れてはならないこの二つの大きな災厄に挟まれたこの約2ヶ月間を、私は「防災特別期間」として何気ない形で、しかし確実な意志を持って過ごしています。
あえてこの「枠(期間)」を設けることには、大きなメリットがあります。
それは、「いつもよりも防災について考えること」を自分に課す(義務化する)ことで、思考の解像度が上がるという点です。
「毎日ずっと防災のことを考えなさい」と言われると疲れてしまいますが、「この期間だけはアンテナを最大に張ろう」と決めることで、普段は見逃してしまう情報や、日頃の備えの中に潜む「今、本当に必要なものは何か」という課題が見えてくるのです。
2. ラジオから広がる、場所を超えた防災の繋がり
私の防災情報の主なソースの一つは「ラジオ」です。
私は普段からラジオを聞く習慣を大切にしていますが、特にこの期間は、自分の住んでいるエリア(名古屋)だけでなく、他のエリアの番組も積極的に聴くようにしています。
iPadやスマートフォンを使えば、今や場所の垣根を超えて全国の放送を聴くことができます。放送局によって、防災への取り組み方や、被災体験の伝え方は実に様々です。
- 淡々と事実を積み重ねる放送
- リスナーの体験談を丁寧に拾い上げる番組
- 専門家を招いて最新の技術を紹介するコーナー
こうした多様な「伝え方」に触れることで、防災という一つのテーマを多角的に捉えることができるようになります。
実は昨年、この習慣がきっかけで大きな行動に繋がりました。
関西のラジオ番組の生放送を聴いていた際、神戸で防災セミナーが開催されるという情報を耳にしたのです。そのテーマは、「阪神・淡路大震災から30年――メディアの立場からの継承」。
私はその瞬間に「これは行かなければならない」と感じ、名古屋から日帰りで神戸へと向かいました。
3. 神戸で触れた「継承」の熱量
神戸でのセミナーは、非常に刺激的なものでした。
登壇していたのは、関西のテレビ局の若手アナウンサーや記者の皆さん。彼らの多くは、震災当時はまだ幼かったか、あるいは生まれていなかった世代です。
「体験していない自分たちが、どうやってあの日の記憶を語り継いでいくのか」
「悲劇を伝えるだけでなく、未来の命を守るための情報をどう届けるべきか」
そんな葛藤を抱えながら、懸命に「継承」に向き合う彼らの姿に、深く感銘を受けました。メディアという、情報を流し続ける立場の人たちがこれほどまでに真剣に過去と向き合っている。その事実は、私自身の「情報を蓄積し、伝える」という活動にも大きな影響を与えました。
現地へ足を運び、その場の空気に触れること。これも「防災特別期間」だからこそ生み出せる、思い切ったアクションの一つです。
4. データの蓄積と、想像力のアップデート
「防災特別期間」における私の活動は、セミナー参加だけではありません。
この期間中、私は意識的に以下のような「情報のブラッシュアップ」を行っています。
- 過去の災害動画の視聴:
当時の映像を改めて見直すことは辛い作業でもありますが、視覚的な情報は「何が起こるか」を予測する上で最も強力なデータとなるのではないでしょうか。 - 最新の防災データの蓄積:
ハザードマップの確認や、新しい防災グッズ、テクノロジーの進化をiPadでリサーチし、自分専用の防災ノートを更新します。 - 「今必要なもの」の再定義:
備蓄品は一度揃えて終わりではありません。自分の年齢、体調、住環境の変化に合わせて、常に「今、この瞬間に震災が起きたら何が必要か」を考え直します。
これらは一見地味な作業ですが、平時からこうした「何気ない形での訓練」を積んでいるからこそ、いざという時の意識が強固なものになるのです。
5. 周囲を巻き込む「対話」の防災
自分一人で知識を蓄えるだけでは、防災は完結しません。
私はこの期間中に考えたことや学んだことを、日頃サポートしてくださっているヘルパーさんたちにも積極的に話すようにしています。
「もし、この仕事中に大きな揺れが来たら、私たちはどう動くべきか」
「避難場所はあそこで合っているか」
「この部屋の中で、一番危険な場所はどこだと思うか」
こうした会話を日常的に挟むことで、自分自身の意識だけでなく、関わる人たちの防災意識をも自然に高めることができます。仕事中の災害発生時にどう行動するかをシミュレーションしておくことは、私にとって、そして私を支えてくれる方々にとっても、最高のリスクマネジメントになります。

あなただけの「防災特別期間」を
防災は、決して特別な、あるいは仰々しいことだけではありません。
「1月17日から3月11日まで」という期間を決め、その間だけ少しだけアンテナを高くする。ラジオを聴き、情報を集め、誰かと話し、iPadの中に未来の自分を守るためのデータを蓄積する。
そんな、日常の延長線上にある取り組みこそが、本当に命を救う力になると信じています。
皆さんも、この期間に自分なりの「防災のカタチ」を見つけてみませんか?
何気ない取り組みの積み重ねが、いつか大きな安心へと繋がっていくはずです。
次回もお楽しみに!
- iPadは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
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【編集部より】
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